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2011年1月の1件の記事

2011年1月30日 (日)

2011年 新年のご挨拶

代表 髙島邦俊

 新年明けましておめでとうございます。この新年、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はいつも通りの寝正月なんて締まらない1年のスタートでした。

 昨年の年頭には「政権交代」に多少なりとも希望のあることを期待する一文を寄せたのですが、今年はその政権もだいぶ雲行きが怪しくなっています。だいたいが今までは仮免でしたなんて公言する首相がいるものですから、とてもじゃないけど信頼を寄せるなんてことは言えない状態です。こと教育問題に限って言えば、高校の授業料無償化が実現したのはいいとしてもそれ以外の負担はまだまだ大きいものがあります。もちろん無償化から排除されてしまった朝鮮学校のこともあり、子ども達にとってもっと学びやすい学校環境を作るのはこれからの課題だと思います。

 昨年は、高齢者の行方不明ということが話題になり国内10大ニュースの一つにも取り上げられました。社会の高齢化が進み、いわゆる定年後の保障である年金もおぼつかなくなっている中で、いわゆる「定年延長」が日教組の方針としても取り上げられています。教職ということでいうならどうなんだろうという思いがあるのも確かです。自分自身はもう少しで「定年」にはなるのですが、再任用の制度があったり、これから定年延長が現実の問題になってくると、若い教職希望者の採用は少なくなり、彼らは常勤や非常勤という形で学校現場で酷使され、激しい勤務の中で教採の勉強も出来ずにまた次の年の採用試験を受ける。定年後も学校でと思っている人達ももちろん大切ですが、若手の採用が制限されているという現状は何とか出来ないものかと思ってしまいます。もっともそういう彼らが正採用になったとしても、今のような評価と多忙化の中で、子ども達に向かい合うエネルギーを喪失させてしまうのではないかという危惧も一方にはあるわけです。私達教職員は、子ども達に向き合う忙しさを多忙とは感じないのです。むしろ「カンリ」され、余計な仕事に振り回されている中での焦燥感や多忙感にストレスを溜め込んでしまうのです。これは年齢に関係なくあることだと思います。誓約書に名前を書いたからといって解決されるはずの問題ではありません。やたら数値目標だけを掲げ、あるいは掲げさせる管理職がいますが、長い目で生徒を育てる役割を担っている教育現場で働く教職員にはもっとも相応しくないやり方と言わざるを得ません。もっと自由な空気を職場にもたらし、教職員一人一人が子ども達と向き合うことにモチベーションを向けさせることこそが管理職の責務でしょうし、そういう現場を支えていくことが、私達労働組合の重要な仕事だと思っています。

 ところで宮城ネットの招きでよく仙台に来ていただいている広田先生の本を紹介しておきたいと思います。『教育問題はなぜ間違って語られるのか? 「わかったつもり」からの脱却』(日本図書センター 広田照幸 伊藤茂樹共著)です。新年度に向けて準備を始めている先生、もしかしたら異動かな、新しい学校はどんな学校だろうと思いを膨らましている先生にはいいかもしれません。子ども達に向き合う原点を教えてくれる好著です。

 私達を取り巻く環境はもっと厳しくなるかもしれませんが、それでも少しずつ頑張ればもしかしたら少しは良くなっていくかもしれないという希望は失わないでいたいと思います。そのためにもネットの会員の皆様に限らず、現場で働く多くの職員の方々にも働きかけ運動の輪を広げていくことが大切だろうと思います。

今年もまたお力をお貸しください。よろしくお願いいたします。