2011年 護憲集会参加報告
第4分科会は140名を超える参加者で開催された。報告者の福島県教組書記長の角田さんは共に日教組運動を担う東北の仲間。「少し痩せたんじゃない」と挨拶をかわす。「そうでもないけど、みんな疲れている」。それはそうだろう。地震、津波そして原発震災に見まわれ、自分たちも被災者にもかかわらず、こども・学校を今後どうするのか。現場での対応、そして県教委・文科省への要請。その合間を縫って、福島の現状を訴えるために全国を駆け回る。やせないはずはない。髪もいぜんより白くなっている。
彼は「放射能のない福島を返せ」と題し、東京電力の原発事故による苦悩する教育現場の状況を報告した。これまで何度か短い報告は聞いてはいたが、これほどまでの詳細な報告は初めてである。
まず、原発事故による教育現場の大きな困難と危機的状況が述べられた。臨時休業を強いられた学校の問題。県内外に転校を余儀なくされた児童・生徒の問題。多くの教職員が元の学校に籍を置いたまま「兼務」という形で県内各地の学校に配置され、片道100㎞もの遠距離通勤を強いられる教員の問題。
このような厳しい状況下での教組としての取り組みが報告された。子どもの安全・安心を守るために確実な放射線線量の提言を県教委・文科省へ要請し、子どもの生活圏における年間線量を1m㏜以下にめざすことを「除染の基本方針」に盛り込ませるなど徐々にではあるが要求・要請が実現しているという。また、子どもの心のケアも重大な問題であり、今後の長期的な健康診断と治療体制をどう築いていくかなど大きな課題も提起された。
意見交流では15人が発言した。特に浪江の女性の「私は二度国家によって棄民にされた。 一度目は戦争で、二度目は原発で」という発言には心を打たれた。二度とこのような悲惨な状況を繰り返させないためにも、反戦平和と反原発の闘いを結合させた取り組みを強めていかなければならないということをあらためて教えていただいた。
9月の明治公園での集会に引き続き大きな集会に参加させていただいた。私たちは福島から何を学ぶのか。それは人類と核は共存できないというであり、原発もいったん事故をおこせば取り返しのつかない被害をおよぼすということである。たかが電気のために大事に育てた馬や牛と別れる必要はない。たかが電気のためにかわいい犬や猫と別れる必要はない。たかが電気のために家や仕事を失う必要はない。たかが電気のためにふるさとや人の結びつきまで奪われる必要はない。すべての原発を廃炉に追い込むまで全力を尽くして闘わなければと意を新たにさせられた集会だった。
(N.S筆)